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かかりつけ医の役割と「急性心筋梗塞」
 地域で開業しているかかりつけ医(診療所)の役割として?@急変時の急性期病院への紹介?A繊細かつきめ細やかな医療の提供(患者の生活に合わせた健康指導、薬の処方、リハビリの指導)?B入院治療から在宅医療への橋渡し役(在宅介護、がんの在宅ケアや看取り)?C地域の健康増進や健康管理の支援(学校検診、ワクチン接種、健康診断)―が挙げられます。
 急速に高齢化が進む中、住み慣れた地域で生活しながら治療を受けられる環境づくりが求められており、地域の医療機関が役割を分担しながら連携し、患者にとって必要な医療を切れ目なく提供する「病診連携」が進められています。
 「病診連携」とは正確な診断と専門的治療は病院で行い、地域密着の医療はかかりつけ医(診療所)が担当する仕組み。県内では連携する際の連絡票「地域連携クリティカルパス」が統一様式で整備されており、すでに心筋梗塞や脳梗塞の治療で運用されています。
 急性心筋梗塞における当院の診療の流れを紹介します。まず発作を起こした患者が運び込まれると症状を診察し採血検査などを行います。心筋梗塞の疑いがあればすぐに専門病院に連絡を入れて救急搬送をしています。徳島赤十字病院のドクターカー(循環器医師が24時間体制で同乗する救急車)をお願いすることもあります。
 急性心筋梗塞は時間との闘い。「すぐに紹介する専門病院に行ってください」と指示を出したにもかかわらず「家で準備してから行く」などと時間をおいた人は状態が悪化したケースもありました。発作を起こした場合は医師の指示に従い、直ちにカテーテル治療が可能な専門病院を受診することが最も重要です。
 専門病院で治療を受けて退院した後は、心筋梗塞の再発予防を目標として生活習慣の改善と薬物治療が必要になる。当院では手術治療の退院後に患者が来院した時には?@病気が再発する可能性?A心臓の残された機能の把握?B食事制限、運動や仕事の制限?C薬物治療の継続の必要性などについて、長めに時間を取って説明するようにしています。
 退院時に処方された薬の中には副作用として肝臓の働きを低下させることがあるため、退院後はかかりつけ医が定期的に採血検査をして副作用の有無をチェックします。6~9カ月後には再度、手術した病院に短期入院して冠動脈を再評価し、治療部位が狭くなっている場合や新しい病気の進行の可能性が確認された場合は再手術をすることになります。
 地域連携パスを活用することで、かかりつけ医(診療所)は手術後の患者の外来治療や病院での再検査などもスムーズに行うことができる。今後も「病診連携」を進めながら、患者が地域の中で自分らしく健やかに長生きできるように支援していきたいと考えています。

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