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シリーズ: 心臓病、生活習慣病について

No.000013

● 「入浴と急死」について

日本人は入浴を好む国民です。このため、入浴中に生じる事故は非常に多く救急車で運ばれる心肺停止例の92%は浴槽内での発症といわれています。日本全体で年間14000人が入浴中に死亡(総死亡の1.5%)され、入浴中の急死患者の、約半数(47%)が65歳以上であると報告されています。また、65歳以上の高齢者の入浴事故の33.8%が心肺停止であることから、高齢者ほど入浴中の急病・事故を発症しやすく、重症化しやすくなっています。
また、季節としては気温が低下する冬場に多く、高い温度のお湯に長時間つかることと、入浴後に急速に体温が変化することに関係すると考えられます。(図1)
入浴中の急死の原因としては、1)心疾患、2)脳血管疾患、3)溺水の3つが主な原因と考えられ、いずれもある程度予防することができると考えられます。(図2)
また、入浴中の急変を見つけた場合には、まず慌てず水面から顔を放し、風呂のお湯を抜いておぼれないようにすることが大切です。その後助けを呼ぶ様にしてください。(図3)

◆入浴中の急死の原因(主には3つ)
心疾患:高温の全身浴によりもたらされる血圧上昇、頻脈が、心筋を酸素不足(心筋虚血)を起こし、胸痛、呼吸困難、危険な不整脈、血圧低下などが誘発される
脳血管障害:高温浴では、血圧が著明に上昇するので、脳出血、クモ膜下出血の誘因となります。また高温浴後、翌日の朝に脳梗塞を起こす場合もあります
溺水:入浴中の高齢者に「湯あたり」が発生すれば、意識を失い風呂で溺れてしまう。この背景には、体力の低下、及び高齢者に特有の感覚低下(高温浴を熱いと感じない、長湯をしてもゆだったと感じないなど)が原因と考えられています
◆入浴中の事故を予防するには(7項目)
(1)脱衣所や浴室をあらかじめ暖め、入浴時の温度差を少なくする。
(2)浴槽は浅め(あるいは水位を低く)で半身浴が望ましく、縁に手をかけておく。
(3)ぬるめの温度(39〜41℃)で、長湯はしない。
(4)一日の中で体温が上昇し、血圧の安定する16時から19時頃までの入浴が望ましい。
(5)血圧下降の原因となるような飲酒や食後の入浴や、入浴中の急激な起立は避ける。
(6)入浴後は水分を補給する。
(7)高齢者が入浴しているときは、家人や周囲のひとが声かけするようにする。単身者の場合、出浴時に浴槽の栓を抜く習慣をつけるのも溺水の予防となります。
◆入浴中の急変を見つけた場合(まず慌てない)
[1] 入浴中の意識障害を認めたら、顎を風呂蓋に乗せて溺没を防ぐ。
[2] 湯栓を抜く。
[3] 力があれば、患者を浴槽から搬出する。その後で救急要請する。
[4] 力がなければ、搬出せず救急要請する。
[5] 患者を浴槽から救出できれば、仰臥位として患者の呼吸を確認する。
呼吸がなければ口対口の人工呼吸をまず2回、続いて頚動脈拍動を触知して脈が触れなければ心服マッーサージーを15回行う。人工呼吸と心臓マッサージを繰り返して、救急隊の到着を待つ。
図1
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図2
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図3
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